2009年5月19日火曜日

Effect of plantar local anesthetic injection on dorsal horn neuron activity and pain behaviors caused by incision.

Pain. 2002 May;97(1-2):151-61.

「手術に先だって十分な鎮痛を施すと、術後鎮痛に必要な鎮痛剤の量が減少する」これがいわゆるpre-emptive analgesiaのコンセプトです。このコンセプトは炎症性疼痛モデルでみられる脊髄レベルの神経の興奮性の変化-central sensitization-が手術術後にも生じるので、これを予防すれば術後痛が軽減できるだろうというものです。
pre-emptive analgesiaはわかりやすいし、比較的実行しやすいということでずいぶん流行したように思うのですが、その効果を証明する臨床研究はありません
この論文はBrennanの術後痛モデルを用いて、脊髄後角のwide dynamic range(WDR)ニューロンが発火する様子を観察し、ニューロンの発火に局所麻酔薬の投与がどう影響するかを調べたものです。著者らはbackground activityの強さとreceptice field(あるニューロンが強い刺激を受容するその領域)の広がりでWDRニューロンの興奮を評価しました。術後痛モデルはWDRの興奮を強め、末梢に投与した局所麻酔薬はWDRニューロンの興奮を抑制します。この効果は局所麻酔薬を処置前に投与しても処置後に投与しても同様でした。この結果は、術後痛モデルにおいては、脊髄ニューロンの過興奮に一次知覚神経の過剰な刺激が必須であることをしめすもので、脊髄ニューロンが、それ自体を起点として過興奮状態となる、central sensitizationが術後痛モデルにはあまり関与しないことをしめすものです。
このような論文と対になるように、central sensitizationではkeyとなるNMDA受容体拮抗薬がBrennanのモデルでは効果的でないことを示す論文が発表されるようになっています。ちなみに、ケタミンはNMDA受容体拮抗薬です。
術後痛を考えるときは、もっと一次知覚神経に注目するべきでなのでしょう。

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