2009年6月6日土曜日

Distinct subsets of unmyelinated primary sensory fibers mediate behavioral responses to noxious thermal and mechanical stimuli

PNAS 2009 Jun 2;106(22):9075-9080.
C-fiber neuronがIB4の発現の有無で二つのグループに分かれるのは周知のことと思います。マウスではIB4に分布がきわめて近いMrgprdというタンパクがあって、AndersonのグループはMrgprdトランスジェニックマウスを使って、投射先である皮膚組織の領域(深さ)がMrgprd+とMrgprd-で異なることなどを示してきました。ちなみに、マウスではTRPV1陽性ニューロンはほとんどすべてIB4-なニューロンと重なるので、マウスC-fiberはMrgprd+かTRPV1+かに分けることができるわけです。この論文はMrgprd遺伝子の前にジフテリア毒素受容体遺伝子をくっつけたマウスを作り、これにジフテリア毒素を投与することでMrgprd+ニューロンを選択的に除去したときに痛覚受容がどうなるかを見たものです。ジフテリア毒素を投与されたマウスではIB4の発現がほぼ消失しています。この条件下で熱と機械刺激に対する反応を見てみると、熱刺激への反応は正常なのに、機械刺激に対する閾値は著しく上昇します。逆に、カプサイシンでTRPV1+すわなちMrgprd-ニューロンを除去すると全く逆の反応、つまり、機械刺激には正常に反応し、熱刺激への感受性が失われることがわかりました。
このような行動解析の結果は、電気生理学的にはpolymodal、すなわち、いろんな刺激に反応するC-fiberニューロンが、実は機械刺激を伝達するグループと熱刺激を伝達するグループの二つに分けることができうる、ということを示します・・・。
ところで、同じような手法でNav1.8陽性ニューロンを除去したらどうなるのか?ということを調べた論文があります。マウスNav1.8はmRNAレベルではC-fiber neuronの大部分に発現しているので、このトランスジェニックマウスでは、すべてのIB4+ニューロンと(おそらくは)ほとんどすべてのTRPV1+ニューロンが消失します。当然、熱刺激への感受性も機械刺激への感受性も低下すると思いきや、行動解析の結果では、両者とも野生型とほとんどかわりはありません・・。
いったいどうなっているのでしょうか?
追記:Nav1.8アブレーションマウスでは、von Freyの値は野生型とトランスジェニックでほぼ同じですが、より強い機械的刺激に対する反応はアブレーションマウスで減弱しているようです。

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