2009年8月22日土曜日

Membrane-delimited coupling of TRPV1 and mGluR5 on presynaptic terminals of nociceptive neurons

J neurosci 2009 29(32) 10000-10009
カプサイシン受容体TRPV1はDRGから末梢組織に輸送され、皮膚に加わる熱刺激などを痛覚として受容する働きがあります。
一方、脊髄でTRPV1の免疫染色を行うとTRPV1陽性な終末が後角を中心に認められ、TRPV1が脊髄にも運搬されていることがわかります。TRPV1を興奮させる刺激、すなわち42度以上の熱、低いpHあるいはカプサイシンが脊髄に存在するとは考えにくく、脊髄後角のTRPV1のfunctionは長く不明のままでした。
この論文は脊髄のTRPV1がGタンパク共益型のグルタミン酸受容体mGluR5の興奮により合成されるdiacylglycerolという脂質によって活性化され、後角ニューロンのEPSCを増加させることを報告しています。mGluR5作動薬DHPGを髄腔内投与すると一過性の痛覚過敏が生じますが、TRPV1ノックアウトマウスでは痛覚過敏の発現が弱いことが示されています。電気生理ではDHPGはEPSCの頻度を増加させますが、これはTRPV1阻害剤でブロックされます。培養DRGニューロンにDHPGを投与すると一過性の細胞内カルシウム濃度上昇が認められ、TRPV1阻害剤でブロックされています。OAGという、細胞膜を透過しやすいDAGアナログでも同様の現象が確認されています。
mGluR5がEPSCを増加させることは以前から知られていましたが、どのように脊髄後角ニューロンを興奮させるかということは、これまで知られていませんでした。この論文はmGluR5の下流にはTRPV1があって、脊髄後角において興奮性に働く可能性があることを示しています。
mGluR5はEPSCだけでなく、IPSCも増加させる作用があるそうです。今回紹介した論文はその一方だけを取り出して調べているわけで、後角ニューロンに対するmGluR5の作用は相反的であるということは念頭に置いておく必要はありそうです。慢性疼痛の発症にmGluR5-TRPV1の系がどのように関与するのか、さらに検討していく必要があるのでしょう。

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