2009年9月24日木曜日

Large A-fiber activity is required for microglial proliferation and p38 MAPK activation in the spinal cord

Molecular Pain 2009, 5:53
"different effects of resiniferatoxin and bupivacaine on spinal microglial changes after spared nerve injury"という副題がついています。
SNIモデルはNeruopathic painのモデルの一つで、最近では遷延性術後痛モデルとも見なされるようになっています。この論文は神経ブロック(=神経活動を局所麻酔薬などで止めること)とくにC-fiberのみの神経ブロックが脊髄マイクログリアの活性化を予防できるかどうかを調べたものです。
C-fiberを選択的にブロックする手法として、神経へのRTX注入を行っています。RTXは強力なTRPV1アゴニストで短期的には脱感作によるTRPV1の機能低下、長期的にはTRPV1の発現低下あるいはC-fiber neuronの変性をきたします。今回の投与方法(0.01%溶液神経内注入)では数日間のheat/mechanical hypoalgesiaが生じるようです。これを根拠に著者らはRTX投与群を「選択的C-fiber neuronブロック群」と定義しています。
もう一方の実験群として、局所麻酔薬ブピバカインによるブロックを行っています。ブピバカイン群とRTX群の違いの一つとして、RTX群ではmotor functionが温存されていることが特徴的でしょうか。SNI施行後の疼痛反応の違いとしては、ブピバカイン群ではmechanical allodyniaが消失していますが、RTX群ではブロックしないグループと同程度の痛覚過敏が出現しています。
脊髄のp38活性化の状態を見ると、RTX群ではリン酸化p38の発現量は抑制されませんが、ブピバカイン群ではリン酸化p38陽性細胞数が有意に抑制されることがわかりました。
著者らはRTXによるブロックはC-fiber選択的なブロックで、ブピバカインはA/C両者をブロックしていると考えていて、実験結果から脊髄p38の活性化にはA-fiberの活動性の亢進が必要であると結論づけています。
SNIを遷延性術後疼痛の一つのモデルとみなして臨床的意義を考えるならば、遷延性術後痛を予防するためには、C-fiberのブロックだけでは不十分で、A-fiberも含めた十分なブロックを行う必要があるという結論になるのでしょうか。
急性術後疼痛のモデルであるincision painモデルでも脊髄p38の活性化が生じることは前回ご紹介したとおりです。しかもincision painの場合、p38阻害剤を髄腔内投与しても疼痛は減弱しません。そんなわけで、脊髄におけるp38のリン酸化は遷延性疼痛の際によく見られる現象だが、慢性疼痛の本態ではないのではないか?という疑問というか疑念を念頭に入れておく必要はありそうです。もっと長期的な行動解析のフォローアップを見てみたいと思いました。

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