2009年10月15日木曜日

Inhibitor B Kinase β Deficiency in Primary Nociceptive Neurons Increases TRP Channel Sensitivity

The Journal of Neuroscience, 2009, 29(41):12919-12929
サイトカイン刺激などに対する細胞内情報伝達シグナルとしてNFkbが重要であることは良く知られています。NFkbはIkbと結合して細胞質に存在しているけどなんらかの仕組みでIkbとの結合が外れることによって核内への移行して機能を発揮すると言われています。IkbはIkbkinaseによってリン酸化されると分解されてしまう性質があり、Ikb kinase (IKK)はIkbの分解を介してNFkbを活性化しているということになります(参考)。
この論文は、IKKの中の一つIKKbetaを一次知覚神経の中の痛覚伝達神経だけ(SNS-Creシステム)でコンディショナルノックアウトしたマウスの機能解析を報告しているものです。
Fig1でIKKbetaの発現をチェックしていますが、ノックアウトでは発現が低下しています。面白いことに、NFkBの活性はノックアウトしても変化しないようです。ニューロン以外の細胞にもNFkBの発現があるのでマスクされてしまうんでしょうか?
行動解析(fig2)では機械刺激・熱刺激に対する反応潜時がノックアウトで短縮していて、IKKbetaが何らかの形で知覚神経を抑制する方向に働いていることが示唆されます。カプサイシン刺激による痛覚過敏もノックアウトでは亢進しています。カルシウムイメージング(fig5)ではカプサイシン、ATP、UTP、カリウムによる細胞内カルシウムの増加がアッセイされています。カプサイシン刺激によるカルシウム増加だけはノックアウトで増加しています。DRGの小型・中型ニューロンにおけるカプサイシンへの反応性ですが、ノックアウトでは8割ぐらいのニューロンがカプサイシン反応性ありです・・・すごく多い印象です。
DRGにおけるTRPV1発現量はmRNAレベルで若干増加、免疫染色によるTRPV1陽性細胞数は総数は変化しないけど、強染性のニューロンは増加するようです。坐骨神経や脊髄後角では、細胞膜分画のTRPV1発現量が増加するようで、総体としてアクティブなTRPV1が増量していることが示唆されます。
ということで、IKKbetaはTRPV1を何らかの機序で抑制していると結論しています。これがNFkBを介するのか、あるいはIKKbetaがTRPV1に直接作用するのかは今のところは不明です。最初のフィギュアのNFkBアッセイはグリアの影響を除いて、ニューロンだけでアッセイしたらもっとはっきりするのではないかと思うのですが。

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