2009年11月16日月曜日

Enduring Reversal of Neuropathic Pain by a Single Intrathecal Injection of Adenosine 2A Receptor Agonists

The Journal of Neuroscience, November 4, 2009, 29(44):14015-14025
アデノシンはATPの分解産物ですが、細胞外アデノシンは細胞間のシグナル伝達に用いられることもあり、その意味でATPと似ているのかもしれません。ただし、肺障害や敗血症モデルではアデノシンの抗炎症作用が証明されていて、アデノシン投与によって臓器障害が軽減したり、死亡率が減少したりする効果が認められていることから、ATPが炎症反応を増悪させることとは働きが逆になっています。
疼痛治療でも同じような現象が認められていて、脊髄に投与されたアデノシンに鎮痛作用があることは古くから知られていました。ATPが疼痛を引き起こすのとは逆の効果ですね。アデノシンはA1、A2という2種類の受容体を介して鎮痛作用を発揮すると考えられていて、おおざっぱに言えば術後痛などではA1受容体、神経因性疼痛ではA2受容体が主として関与していると考えられているようです。
今回の論文はアデノシンA2a受容体作動薬がCCIモデルラットの痛覚過敏をどのように抑制するか、そのメカニズムを解析した結果を紹介するものです。その鎮痛効果の一つの特徴として、A2a受容体作動薬を
髄腔内投与すると鎮痛効果が約4週間つづくことが示されています。この作用は、薬剤を痛覚過敏が完成した後の段階で投与しても認められることがわかります。A2a受容体作動薬の効果はオピオイド受容体拮抗薬では抑制されず、IL-10中和抗体によって抑制されること、A2a受容体作動薬を投与するとCCIラット髄液中のIL-10発現量が増加することから、抗炎症作用のあるIL-10の上昇作用が効果発現のメカニズムであろうと結論づけています。不思議なことにNaiveラットにA2a受容体作動薬を投与してもIL-10は上昇しないし、疼痛閾値の変化も認めません。神経損傷に関わる何かのイベントがないとアデノシンは働かないのでしょうか?神経損傷後の疼痛発生に果たすATPの役割やアデノシンがATPの分解産物であることなどを考え合わせると、生体内におけるアデノシンのふるまいが慢性痛や急性痛でどのように変化するのか知りたいところです。
アデノシンは臨床でも鎮痛効果がテストされていて、術後痛などでは一定の効果が認められているようです。
A2a受容体作動薬の長期間持続する鎮痛効果がヒトでも認められるなら、A2a受容体を利用した鎮痛薬が(たとえ髄腔内投与であっても)神経因性疼痛で効果を発揮する可能性は高いように思えます。

追記:査読がいくつか重なったため更新する時間がありませんでした。すいません。

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