2010年3月19日金曜日

Molecular basis of infrared detection by snakes

Nature, AOP, 2010 Mar14
ヘビはピットと呼ばれる器官によって獲物や外敵の体温を関知して攻撃するそうです。その感度は1m離れた対象物の体温を感じることができるくらい鋭敏で、視覚とあわせることでかなり正確に対象物を把握できるらしいです。このピット器官が熱を感受するための分子センサーがTRPA1だという報告です。
Pitを持っているガラガラヘビのDRGと三叉神経節(TG)の遺伝子発現プロファイルを比較したところ、TRPA1はDRGよりもTGにおいてはるかに高い発現を示しました。同じ比較をピット器官を持たないヘビで行うとTRPA1の発現はDRGとTGで変わりがないそうです(図1-2)。 ピット器官の神経支配はTG由来なのでピット器官における熱受容とTRPA1との関係が注目されたわけです。
それで、ヘビTRPA1をHEKに導入してみたところ、室温では興奮しないが温度を上昇させると急速に興奮することがわかりました。閾値はヘビにより違いますがガラガラヘビでは28度前後に閾値があります(図3)。
実際にTGニューロンを培養してカルシウムイメージングしてみると、熱刺激で興奮するニューロンが多数であり、この反応はTRP阻害剤のRhutenium redによりブロックされます(図5)。
ほ乳類のTRPA1はワサビや麻酔薬などの化学物質に感受性がある代わりに熱刺激への感受性は失われています。動物の中ではヘビとコウモリが近赤外線のモニタリングができるらしいですが、これらの種ではすべてTRPA1に熱感受性があるのかどうかはわかりません。ピット器官はヘビが生存するには欠かせない器官だそうで、ほ乳類が有害刺激を避けるためにTRPA1を利用していることとは別の意味でクリティカルな役割を担っているわけです。
すごく面白い研究だと感心しますが、ガラガラヘビを相手に実験する光景を想像すると簡単に真似できないなと思います。

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