2010年4月11日日曜日

Epigenetic gene silencing underlies C-fiber dysfunctions in neuropathic pain.

J Neuroscience 2010 30: 4806-14
NRSF/RESTは抑制性の転写因子で、非神経細胞においてさまざまなneuronal geneの発現を抑える役割を持っています。最近では神経細胞においてもなんらかの役割を持っていて、特に神経の病的変性に伴う遺伝子発現の変化との関連が注目されているようです。
この論文は末梢神経を損傷させたときの遺伝子発現の変化にNRSFがどのように関与するかを調査したものです。
図1ではaxotomyで発現レベルが低下する代表的な遺伝子、MORとNav1.8のプロモーター領域にNRSFを認識するモチーフ(NRSE)があることを示しています。NRSFの発現量は神経損傷によって増加しています(図2)。NRSFが遺伝子発現を抑制するときにはヒストンの脱アセチル化が必要ですが、Nav1.8、MORの両者において脱アセチル化が生じていることが示されています(図3)。NRSFをノックダウンするとMORやNav1.8を含む種々の遺伝子発現の低下が抑制され(図4)、C-fiber刺激の反応閾値の低下も抑制されています(図5)。神経損傷後に観察されるモルヒネへの感受性の低下もNRSFのノックダウンによって抑制されます。
これまで、神経損傷に伴って遺伝子発現が低下することについてはいろいろと調べられて来ましたが、今回の論文は全く新しい切り口でこのメカニズムを理解しようとするものだと思います。従来の考え方である「末梢組織由来の神経栄養因子の輸送が途絶する」現象との関連性などはどのようになっているのでしょうか。
蛇足ですが、僕もDRGのwhole cell レベルでヒストンのアセチル化の程度を調べたことがありました。結局、wholeではあまり変化がなくて、やはりこの論文のようにChipアッセイをしないとその差はdetectできないのでしょう。

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