2010年5月2日日曜日

Heat generates oxidized linoleic acid metabolites that activate TRPV1 and produce pain in rodents

J Clin Invest. 2010 Apr 26. [Epub ahead of print]
TRPV1が42度以上の熱を感知するセンサーであることは周知のことと思いますが、そのメカニズムに脂質の代謝産物が関与しているという報告です。以前からリポキシゲナーゼの代謝産物がTRPV1を活性化させるという報告がありましたが、今回の報告は、熱を感知するシステムそのものが脂質代謝に依存するのではないかという説なのでより過激です。
マウスの皮膚組織を培養して、熱刺激を与えておいて、その培養液を三叉神経節細胞に与えると細胞内カルシウムが増加します(図1)。この反応はTRPV1ノックアウトではおこらず、TRPV1阻害剤RTXで阻害されることからTRPV1を介した反応であることがわかります。熱刺激としては43度ぐらいから反応があり、48度までは増加が認められています。同じ現象はCHO cellにTRPV1を強制発現させても認められています。組織を熱してでてきた物質をHPLCで解析するとリノレイン酸の代謝産物である9HODEと13HODEであることがわかりました。両者は熱刺激に応じて合成、分泌されるようです(図2)。9HODEと13HODEの生合成は皮膚だけではなくて、CHO cellにおいても生じるようです。図3では9HODEがTRPV1のアゴニストであることが示されています。カプサイシンによる興奮を抑えて、熱に対する興奮を抑えないTRPV1阻害剤AMG8562を投与しても9HODEによるTRPV1の興奮は抑えられないので、9OHDEはカプサイシンとは違う部位に働いてTRPV1を興奮させることがわかります。9OHDEをマウスに投与すると急性のthermal hyperalgesiaが生じるようです(図4)。一方、9HODA/13HODAを生合成する経路の阻害剤、あるいは9HODA/13HODA抗体はvitroではTRPV1の熱感受性が低下させ、vivoではラットの熱に対する逃避時間を延長させます(図5)。single channel recordingのデーターでは、熱刺激と9HODAのlatencyがほぼ同一であること(図6)、リノレイン酸が濃度依存的にTRPV1をopeningすること(図7)、inside-outの状態でwashするとTRPV1の熱への反応性が失われるが、リノレイン酸を添加することで回復すること(図8)が示されています。
そんなわけで、熱依存性に合成される脂質代謝産物がTRPV1のリガンドであって、TRPV1の熱に対する反応性がほぼ説明できるということがわかりました。炎症性疼痛の時には、熱に対するTRPV1の反応性が変化する現象が起きますが、これも受容体の変化だけではなく、リガンド合成の部分も考えないといけないということになります。他のthermo-TRPでも同様なのでしょうか?脂質おそるべし。

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