2010年6月13日日曜日

Evidence for a Role of Endocannabinoids, Astrocytes and p38 Phosphorylation in the Resolution of Postoperative Pain

PLoS One. 2010 May 28;5(5):e10891. PubMed PMID: 20531936.
術後痛モデルであるskin incisionモデルは疼痛が数日間で消失する「軽度な」あるいは「急性の」疼痛モデルだと言われています。そのような行動解析の結果から、「術後痛モデルにおいて知覚神経が機能的・形態的に変化することは少ない」と思われていましたが、最近は脊髄でアストロサイトの活性化が生じるなどの報告がなされ、むしろ「知覚神経の変化はあるけれども、それが永続的でない」という理解に変化しつつあるのではないかと思います。
この論文は術後痛モデルにおいていかに疼痛や神経の変化が消退するか?ということを解析したものです。消退させるメカニズムとして内因性カンナビノイドに焦点を当てています。
図1に示すとおり、incision painによる痛覚過敏と脊髄アストロサイトの活性化は自然に消退します。痛覚過敏は機械刺激への反応、アストロサイトの活性化はGFAPで見ています。
図2に脊髄における内因性カンナビノイドの発現量が示されています。アナンダミド(AEA)は術後痛の発症時期に一致して一過性に減少、2-AGは疼痛の消退時期に一致して増加しています。
図3と図4はCB1/CB2の脊髄における局在を示しています。CB1はニューロン、CB2はマイクログリアに存在することが示されています。
図5はCB1/CB2の阻害剤が術後痛モデルの痛覚過敏に与える影響を示しています。CB1/CB2の阻害剤を投与すると、投与終了後も痛覚過敏が長く続くことが示されています。
図6ではCB1/CB2阻害剤が脊髄アストロサイトの発現に与える影響が示されています。CB阻害剤を投与するとGFAPの発現量は長く保たれるようです。
図7はプロペントフィリン(グリア細胞抑制剤)がCB阻害剤により生じた遷延性の痛覚過敏を抑制することを示しています。
図8、図9で、アストロサイトとマイクログリアに発現するリン酸化p38がCB1/CB2阻害剤でoverexpressionし、プロペントフィリンによって抑制されることが示されています。
内因性カンナビノイドの発現量が一時的に増加して痛覚過敏とアストロサイトの活性化が消退していくというメカニズムはストーリーとして面白いです。痛覚過敏やそれに伴う知覚神経の変化が勝手に元に戻るのではなくて、元に戻すためのシステムがあるはずだ、という発想もユニークですね。

2 件のコメント:

河野達郎 さんのコメント...

6666ゲット

fumimasa amaya さんのコメント...

キリ番ゲットおめでとうございました。あいかわらず賞品はありません。