2011年8月26日金曜日

ステロイドと術後痛

Anesthesiologyより
Perioperative Single Dose Systemic Dexamethasone for Postoperative Pain: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Anesthesiology. 2011 PMID: 21799397.
メタアナリシスでステロイドに術後痛抑制作用があることを示しています。対象となった手術は多彩でその効果には普遍性があるようです。ステロイド投与は術前がよく、術中では効果は薄い模様です。Pre-emptive analgesiaは復活するでしょうか。

2011年8月17日水曜日

TRPV2の機能解析

J Neuroscienceより
TRP Vanilloid 2 Knock-Out Mice Are Susceptible to Perinatal Lethality But Display Normal Thermal and Mechanical Nociception. 2011
KOマウスの行動解析でTRPV2のfunctionを検証した論文。TRPV2KOは胎生期死亡率が高いようです。
TRPV2が53度以上の熱でチャネルが開くので比較的高い熱刺激に対する反応がどうなるか興味がありますが、行動解析上KO/WTで違いはありません。
かつて僕たちはTRPV1を阻害した後で観察される「高温刺激に対する逃避行動」が炎症性疼痛で増強し、高閾値な熱受容においても炎症で痛覚過敏が生じることを示し、これにTRPV2が関連するのではないかと考えました。今回の論文では同じ手法を使って、しかし残念ながらTRPV2で高閾値熱受容の痛覚過敏は抑制されないという結果がえられたようです。
驚くべきことに、高閾値熱刺激に対して反応するA-fiberニューロンはWTでも検出されなかったようです。TRPV2はA-fiberニューロンに存在して、その発現頻度はマウスもラットも変わらないはずなのですが、これまでの研究でも、高閾値熱刺激に反応するA-fiberニューロンの頻度はラットよりもマウスでは少ないようです。ラットでノックダウンした結果が知りたいところです。

2011年8月7日日曜日

脊髄のNO

脊髄におけるNOの役割は疼痛を増悪させるという結果と抑制させるという結果があるとのこと。今回はNOが脊髄における疼痛抑制にどのように働くかを報告した2報。
JBCより
Nitric oxide inhibits nociceptive transmission by differentially regulating glutamate and glycine release to spinal dorsal horn neurons. J Biol Chem. 2011
NOが脊髄後角ニューロンの電気活動にどう影響するか、パッチクランプによって調べた論文。グリシン作動性抑制ニューロンを賦活化することとグルタミン酸作動性興奮性ニューロンを抑制する作用があるが、GABAニューロンへの影響はない。グリシンおよびグルタミンへの影響はいずれもpre-synapticである。グリシン作動性ニューロンへの作用はsGC-cGMP-protein kinase Gを介するとのこと。
J Neurosciより
CNGA3: A Target of Spinal Nitric Oxide/cGMP Signaling and Modulator of Inflammatory Pain Hypersensitivity. J Neurosci. 2011
CNGというイオンチャネルはヌクレオチドが結合することでチャネルが開き細胞内カルシウムが上昇する。CNGの1つCNGA3が脊髄後角にあって、NO/cGMPの下流のシグナリングとして働いていることを示した論文。CNGA3の作用を抑制すると疼痛は増悪するので抑制系ニューロンを賦活化させる方向に働いているようだ。上記論文とあわせるとグリシンの放出をうながす方向に働くのだろうか。