2011年12月10日土曜日

痛み研究の名著

Journal of anesthesiaより
Citation classics in main pain research journals. J Anesth. 2011 PubMed PMID: 22008797
いろんな学術分野において、citationの多かった論文を紹介する試みをcitation classicsと称する、らしい。Pain researchに専門性の高い33雑誌において「pain」「analgesia」をキーワードに検索された論文を被引用回数順に並べました、という企画。
1位はZimmermannのEthical guideline。動物実験では必ず引用することが半ば義務なのでこれはちょっとずるい気もします。第3位CCIモデル、第5位SNLモデル。モデルを作って普及させるとcitationは上がるということ。かつての僕の同僚もSNIで入りました。僕もPGIモデルというのを作ったのですが普及しません。悲しい。
時代ごとに頻回に引用された論文というのも一覧になっていて、うがった見方をすれば痛み研究の流行が反映されています。1990年代は動物実験の論文が並んでいるのに対して、2000年に入るとヒトを対象とした論文が多い。痛み研究もヒトへの回帰とでもいうべき現象がおきているのでしょうか。
所属研究機関も公表されていますが、UCLとMcGillが強いのが印象的でした。

ちなみにこの企画、対象雑誌が専門誌に限られているので、いわゆるトップジャーナルに発表された論文は除外されています。これとかこれ。Pain researchの場合、その上部領域としてNeuroscienceがあるので、せめてNeuroscience関係の雑誌は網羅してもよかったのではないかと思いました。


2011年12月3日土曜日

ケタミンもう一つの作用

J Neuroscienceより
Microglial Ca2+-Activated K+ Channels Are Possible Molecular Targets for the Analgesic Effects of S-Ketamine on Neuropathic Pain. J Neurosci. 2011 PMID: 22131399.
ケタミンはラセミ体で、S体とR体が混じっているのだが、S-ケタミンはR-ケタミンよりも鎮痛効果が強い。ケタミンが体内で様々な作用点を持って鎮痛効果を示すことは広く知られているが、あらたな作用点として脊髄マイクログリアに及ぼす影響を調べた論文。
S-ケタミンはIba1, マイクログリアにおけるIL-1, pp38MAPK等の発現とカリウムチャネルの興奮性を抑制する。この作用はR体では明らかではない。S体とラセミ体を比べれば、当然ながらS体の方がより効果は高い。
S-ケタミン、そろそろ市場に出回るのではないかと期待しているのだがどうなのだろう?